板曲げ.com Biz

金属の豆知識

カートを見る
  • 0-01
  • 1-01
  • 1-02
  • 2-01
  • 2-02
  • 2-03
  • 3-01
  • 4-01
  • 4-02
  • 4-03
  • 金属板
  • パンチング
  • エキスパンドメタルのご購入はこちら
  • 浴室排水グレーチングのご購入はこちら
  • アルミ大径管のご購入はこちら
  • 金属板のご購入はこちら
  • アルミ複合板のご購入はこちら
  • ポリカーボネート板のご購入はこちら
  • facebook

アルミニウムの製造工程

製造工程のあらまし

アルミニウムは、われわれの日常生活にさまざまな形の製品として登場していますが、 そこにいたるまでには幾多の工程を経なければなりません。 下図はアルミ製品素材ができるまでの製造工程の略図ですが、大別してつきの3工程に分けられます。

●ボーキサイト→アルミナ (AhOs)
採掘したアルミニウムの原料であるボーキサイトを、 か性ソーダ液で溶かしてアルミン酸ソーダ液をつくり、そこからアルミナ分を抽出する工程です。
●アルミナ→アルミニウム(AD
アルミナを溶融氷晶石の中で電気分解することによりアルミ地金を製造します。
●アルミニウム(地金)→製品素材
地金を原材料として圧延・押出・鍛造・鋳造などの加工を行い、いろいろな形の製品素材に成形する工程です。

ボーキサイト→アルミナ

アルミニウムの原料は、ボーキサイトと呼ばれる赤褐色の鉱石で、これから水酸化アルミニウム、アルミナなどになり、 最後に銀色のアルミニウムがつくられます。
現在、アルミナは1887年にオーストリアの化学者カール・バイヤーが発明したバイヤー法式(湿式アルカリ法)によって製造されています。 その工程はつぎのとおりです。

粉砕されたボーキサイトにか性ソーダなどを混合し加圧加熱すると、ボーキサイト中のアルミナ分が溶け出してきます。 この中から、溶けない不純物を除去したあとかくはん、 冷却すると、水酸化アルミニウムの結晶が析出してきます。 この結晶を真空ろ過機により取り出し、約1000°C前後の温度で焼成すると、純白のアルミナ(Al2O3) が誕生し、 つぎにアルミニ ウムの電解製錬工程へと送られます

水酸化アルミニウムとアルミナ

水酸化アルミニウムとアルミナは白い粉末で、アルミニウムの原料としてだけではなく化学工学、窯業などさまざまな用途に使用されています。
水酸化アルミニウムは結晶水を含み、約200°Cから脱水分解を開始する性質を持ち、また酸やアルカリに溶けやすいなどの特徴があることから難燃化剤や工業用化学薬品の原料として広く使われています。またアルミナは、水酸化アルミニウムを焼成してつくられるもので、たいへん硬い、触点が2050°Cと高い、 電気絶縁抵抗が大きい、化学的に安定しているなどの特徴があり、研磨剤や耐火物、セラミックスなどの原料として使われています。このほかにも、身近な生活の中でもいろいろな形で使われており、そのおもなものは次のとおりです。

● 飲料水
水道水の濁り除去用無機凝集剤(水酸化ア ルミニウム)
● 歯磨
混合される研磨剤(超微粒・高白色水酸化アルミニウム)
●洗剤
無リン洗剤用合成ゼオライトの原料(水酸化アルミニウム)
●キッチン
人造大理石の原料(高白色水酸化アルミニウム)
●自動車
スパークプラグの碍子部の原料(ローソーダアルミナ)
●OA機器
ICパッケージの原料(ローソーダアルミナ)水酸化アルミニウムやアルミナはアルミニウム製錬以外の用途が年々広がっており、現在では世界の全生産の約10%がこのような用途に使われています。

アルミナ→アルミニウム

現在最も経済的にすぐれた工業的手法として、世界中で採用されているのがホール・エルー法(1886年発明)と呼ばれる電気分解による製錬法です。その工程は以 下のとおりです。
まず、アルミニウムの酸化物であるアルミナを、氷晶石やふっ化アルミニウムを高温で溶かしたものに混合します。これはアルミナの融点が高いため、電気分解が可能な温度(約1000°C)で溶解させるためで す。これを電解炉に入れ、電気分解によって還元すると、アルミナはアルミニウムと酸素とに分解され、溶けたアルミニウムは、電解炉の底にたまります。
この溶けたアルミニウムを取り出し、保持炉に移して必要な成分・純度に調整し、用途に応じてインゴットあるいはスラブ、 ビレットに鋳造されます。
インゴットは、アルミニウムの新地金と呼ばれ、スクラップから再生した二次地金(再生地金)と区別しています。

 

アルミ地金および加工用鋳塊

地金および展伸加工用鋳塊の種類

アルミ地金は、純度や成分によって普通純度地金、高純度地金、合金地金に分類されます。また形状や用途からはインゴット(一般原材料用鋳塊)、スラブ(圧延用に調整された鋳塊)ビレット(押出用に調整された鋳塊)などに区別できます。

普通純度地金

一般に純度99.0〜99.9%のものを指し、アルミ加工メーカーが溶解するのに使いやすいような形状になっています。
通常の製品素材(板材、押出材、鋳造品、鍛造品、線材、箔など)はこの地金を用いて製造されています。

高純度地金

普通純度地金よりも純度が高く、純度99.95%以上のものをいいます。この地金は、いったん電気分解して取り出したアルミニウムを、もう一度三層式電解法、または偏析法などで精製してつくります。

合金地金

合金地金は、 アルミニウムにあらかじめ何種類かの金属元素を添加して、種々の合金にしてある地金で、加工メーカーでは、これをそのまま再溶解して鋳造品などの製造に用います。

インゴット

加工メーカーが目的に応じて自由に溶解して使えるような形状寸法にしたアルミニウム塊の名称です。 普通純度地金、高純度地金、合金地金も一般にインゴットの形で取引されます。 普通に使われるインゴット (地金)は、重量20kgにつくられており、他に展伸加工工場向けでは約500kgと700kgのものもあります。(欧米では、 ビレット、スラブもふくめてインゴットと呼ぶ場合があります。)

ビレット(押出用鋳塊)

ビレットは主に円柱形に鋳造し、押出加工用に切断した塊の名称で、押出機にかけて高温度で押出し、管、棒、あるいは種々の断面をした形材をつくるためのものです。
ビレットはアルミニウム、または種々のアルミ合金として成分を調整し、半連続鋳造法によって150〜600mmΦの円柱形につくられます。 これを押出機の仕様にあわせて長さ100〜1,500mmに切断します。

スラブ(圧延用鋳塊)

大型の直方体の形状につくられた圧延用鋳塊の名称で、加熱して高温度で板状に圧延します。スラブはビレットと同じく、あらかじめ成分を調整して半連続鋳造法でつくられ、その重量は日的及び圧延設備の仕様などに応じて決められます。一般には厚さ200〜600mm程で、おおよそ2〜28トンの重量のものとなっています。

 

圧延

压延加工

圧延は、アルミニウムの加工のなかでも押出と並んでもっとも重要な展伸加工法です。板材は圧延によって製造されます。圧延は平行におかれた一対のロールを回転させ、このロールとロールの間に直方体のスラブ (鋳塊)を通して薄くする加工方法です。スラブは進行方向に長く延びて薄くなり、所定の厚さになって出てきます。
このとき同時にスラブの鋳造組織を破壊し、均質で優れた性質に変えていきます。板材のほか、棒・線材も一部は圧延加工法を用いることがあります。

熱間圧延と冷間圧延

圧延加工は、 熱間圧延(スラブを加熱して加工する)と冷間圧延(コイルを室温で加工する)の2つに大きく分けられます。熱間圧延はアルミニウムの再結晶温度以上で行うもので、通常約400°C以上の高温度で行い容易に材料を薄く伸ばすことができ、またスラブの鋳造組織を厚板の圧延組織にかえま す。
冷間圧延はふつう室温で行うもので、一般に熱間圧延の後に薄板の仕上げとして行われます。これらの圧延作業を経て、厚いスラブから薄い板へと加工されています。
こうして製造された薄板には、必要に応じて焼なましや安定化処理を施します。

圧延機の種類

圧延機の種類は使用されるロール本数によって分けられます。アルミニウムの圧延では、一対のワークロールを駆動し、その上下に大径のバックアップロールを設けた4段圧延機および中間ロールを設けて平たん度制御、板クラウン制御能力を高めた6段圧延機が多く用いられます。 一般に、4段以上の多段圧延では高圧力下で圧延し、 板の厚さと平たん度の精密な制御を可能にしています。
また2機以上の圧延機を連続して設置し、効率よく圧延を行うタンデム圧延機もあります。
圧延の方式は、従来スクリューで上下のロールギャップを調整する方式がほとんどでしたが、最近では、板厚、形状の制御応答性のよい油圧圧下方式が用いられ ています。さらに自動板厚制御装置(AGC)、自動板形状制御装置(AFC)などの設備により、いっそう高品質な板の生産が行われています。
圧延機のロール幅は、大きなものでは熱間圧延4320mm、冷間圧延2750mm、圧延速度は最高1800~2000m/分にも達します。

連続鋳造圧延法

これはスラブやビレットをつくることなく、アルミ溶湯から直接に板や線をつくり出す方法です。板の製造では米国のハンター・エンジニアリング法、カナダのハゼレット法、フランスの3C法やスイスのキャスターⅡなどが有名です。また線材ではイタリアのプロペルチ法、フランスのスピーディム法などがあります。これらの方法は、ロールによる圧延方法にくらべて造塊(スラブやビレットをつくる工程)、均熱処理、熱間圧延などの工程を省略でき、製造歩留りも向上しコストダウンを可能にします。 また、用途によって急冷凝固の効果などによる性能改善という利点もあります。

 

押出・引抜

押出加工

押出加工はアルミニウムやアルミ合金を400~500°Cの熱間で押出す加工方法です。 一般には円柱の鋳魄(ビレット)を押出機を用いて、強い圧力を加えて各種の形状をもつダイス穴から 押出して、細長い加工製品(押出材)をつくります。
この方法によると、他の加工法では製造することがむずかしい中空品や複雑な断面形状の製品でも、1回の押出工程で容易につくることが可能です。また寸法精度の非常にきびしい形状の製品をつくることもできます。

引抜加工

引抜加工とは、素材を加熱することなく室温で素材をダイスの狭い孔に通して引抜くことによって加工する冷間加工方法です。引抜く素材は一般に押出材が多く用いられます。
引抜は一般的に押出形材よりも細くて寸法精度がよく、表面のきれいな製品をつくることができます。この方法によって主として管、棒がつくられますが、これらは引抜材と呼ばれています。

押出送

押出機には油圧式押出機と水圧式押出機の2方式があり圧力筒およびラムが水平になった横型 (水平方向に押出加工する) が多く使用されています。もっともポピュラーな横型油圧式押出機では、そのほとんどが固定したダイスにビレットを押付けて押出す、直接押出法を採用しています。
押出機は押出能力が500〜3,000トン級のものが一番多く使用されていますが、 大型押出機に対する関心も高まっています。わが国では最大9,500トンの横型油圧式押出機が稼働中ですが、世界では14,000トンといった水圧式大型押出機もあります。

 

鍛造

素材を油圧または水圧プレスあるいはハンマーなどで鍛錬し、粘り強さを与えながら必要な形にしていく方法を鍛造といいます。鍛造は平らな金敷の上で押しつぶして成形する自由鍛造と、鍛造すべき製品の形を上型・下型に彫り込んで、その型内で成形する型鍛造の2つに分けられます。
鍛造によってつくられた製品 (鍛造品) は、強度が大きく衝撃や繰り返 し応力にもよく耐えることができ、信頼性の高い製品をつくることができます。この特性を生かして鍛造品は航空機用部品や自動車の重要保安部品として使用されています。また、 一般工業用部品としても高速回転機器部品や高い負荷のかかる機械部品などに広く使用されています。

 

鋳造

溶融状態のアルミ合金 (アルミ溶湯) を鋳型に流し込んでそのまま冷却し、所定の形状の製品をつくる方法を鋳造といい、その製品を鋳物といいます。鋳造の代表的な方法には砂型鋳造・金型鋳造・低圧鋳造・スクイズキャスティング・タイカストなどがあります。

砂型鋳造法

鋳造法の中ではもっとも古くから行われている方法で鋳物砂でつくった鋳型にアルミ溶湯を流し込み、冷却凝固後に砂型を壊して製品を取り出すものです。
砂型鋳造は造型が容易にでき、寸法の大きな製品が簡単に生産でき ます。

シェルモールド法

けい砂に熱硬化性樹脂の粘結材を混合したものを鋳物砂に用い、金型に焼付けて薄いシェル型をつくり、これを鋳型とする鋳造法です。 砂型でありながら金型鋳造と同等の寸法精度が得られる特徴があります。またシェル鋳型は強くて吸湿性がないため長期保存ができ、 型の運搬も容易で、中空鋳物の中子としても使われています。
比較的小さな鋳物製品をある程度量産するのに適した方法です。

金型鋳造法

鋳鉄や耐熱合金鋼でつくられた鋳型で成型する方法です。 アルミ溶湯の重力のみによって鋳造するため、重力金型鋳造法とも呼ばれます。砂型鋳造にくらべ、 鋳造時の冷却速度が速く、鋳物の表面 (鋳肌)が美 しく、寸法精度のよいち密な鋳物ができる特徴をもっています。また金型は砂型に比べ製作費用がかかりますが、くり返し使用できるため量産に適した方法といえます。

低圧鋳造法

金型鋳造の一種で、炉内の溶湯面に低い圧力を加えてアルミ溶湯を押し上げ注入し、注湯完了と同時に圧力を加えたまま凝固させる方法です。材料にムダがなく、均一で高品質鋳物ができるのが特徴です。

スクイズキャスティング

湯鍛造法、高圧凝固鋳造法とも呼ばれる製造方法で、金型内にアルミ溶湯を入れ、プレスによって溶湯に機械的な高圧力を加えながら凝固させます。機械的強度が高く、鋳肌・寸法精度・耐圧もれ性にすぐれており、高品質な鋳物を得る方法のひとつです。

ダイカスト法

あまり大型なものは少ないが、鋳造品の大量生産に適した方法です。耐熱性鋼でつくられた複雑な形状の金型に、アルミ溶湯を高速・高圧で注入します。製品の鋳肌がきわめて美しく寸法精度にすぐれた薄肉鋳物を短時間で大量生産することができます。しかし溶湯を金型に高速で圧入するため、空気や酸化物を巻き込んで鋳物の中に気孔(鋳巣)ができやすい問題があります。近年、気孔を少なくした方法がいろいろ考案されています。
アキュラッド法、無孔性ダイカスト法(酸素雰囲気)や真空ダイカスト法、低速充填ダイカスト法などが開発され、実用化されています。無孔性ダイカスト法は、鋳込む前に活性な酸素ガスで鋳型内の空気を置換しておきます。この鋳型内の酸素は、注入時にアルミ溶湯と反応して酸化アルミニウムとなり、それが溶湯中に分散して凝固するため、製品内にガス体が残らず、気孔として存在しないので、加熱してもふくれは発生しません。

 

表面処理

アルミニウムはもともと美しい地肌とすぐれた耐食性を持っている金属ですが、さまざまな表面処理を施すことによってこれらの特性をさらに高めたり、新しい特性を付加したりすることができます。
アルミニウムの表面処理方法として、代表的なものに陽極酸化皮膜处理、着色、塗装、機械的表面処理、化成皮膜処理、光輝皮膜処理(光沢処理)、ほうろう、めっきなどがあります。またイオンプレーティング、スパッタリングなどの新しい技術が開発されています。

陽極酸化皮膜処理

「アルマイト※」の名でも知られるアルミニウムの陽極酸化皮膜処理は、わが国が誇る世界的な技術です。
アルミニウムは活性な金属であり、大気中では酸素と結合して自然に表面に薄い酸化アルミニウムの皮膜を形成します。この酸化アルミニウムは、それ以上変化しないという性質を持っているので、内側のアルミニウムを保護する役目をもち、そのために、一般にアルミニウムが腐食しにくいといわれるわけです。
自然に生成する酸化皮膜はたいへん薄い(約1nm)ものですが、人工的に厚くて強固な酸化皮膜をつくる電気化学的表面処理が、陽極酸化皮膜処理です。実際には、電解液(硫酸、しゅう酸、その他の有機酸の中にアルミニウム製品を入れ、これを陽極として弱い直流、交流または、交直流の電流を流すと、表面に酸化皮膜が形成されます。この時、電解液の種類・濃度・温度・電流密度などの電解条件やアルミ合金の種類をいろいろに組合せることによって、シルバー、ゴワールド、アンバー、黒などの色を出したり(発色・着色)、耐摩耗性を付与した、より硬い皮膜をつくることもできます。酸化皮膜の表面には、たくさんの小さな穴(直径0.01〜0.05μm60〜800個/μm2)があいています。
これを圧力容器に入れて、蒸気を吹込み圧力を加えるか、またはふっとう水の中に入れて、穴の表層部に水酸化アルミニウムを形成させて穴を密閉し表面をなめらかにします。このことを封孔処理といい、このとき染料を穴にしみ込ませて着色することもできます。
なお、アルマイトにおける着色方法として交流電解着色法自然発色法などがあります。
※「アルマイト」は、1931年に理化学研究所が名付けた登録商標です。

表面機能化処理

アルミニウムの表面処理は、従来おもに装飾性や耐食性を高めるために行われていました。しかし最近になってエレクトロニクス、その他の先端技術分野のニーズに対応し、すぐれた機能を持たせる表面機能化技術が開発されています。これは陽極酸化皮膜処理や化成皮膜処理、めっきなどの技術を応用して機能性皮膜を生成しようとするものです。

塗装

アルミコイルに塗料(ポリエステル系アクリル系、エポキシ系、ふっ素系など)を連続的に焼付けしたアルミ塗装板(カラアルミと呼ぶ)のほか、成形加工の前あるいは後に塗装|するアルミ缶、アルマイト下地に塗装するアルミサッシ、ブラインド、建材などが代表的です。なかでもカラーアルミは、屋根や外壁などの建材の他、車両、各種機器などに用途が拡|大しています。

機械的な表面仕上げ

機械的な表面仕上げ方法としては、エンボス加工、表面ダル(くもり)加工、ショットブラスト、バフ研磨、バレル研磨などがあります。とくにエンボス加工は、建材や装飾材としてよく用いられます。またレーザーを用いた表面ダル加工は、自動車のボディパネルなどに使用されています。